Ambragaeana ambra

体は黒色がベース。
頭部の幅は中胸背基部と同じくらい。
頭部にある2つの斑点と、中胸背の6つの斑点は黄色。
口吻は後脚基部を超えない。
♂腹部は頭部+胸部より長い。
♂腹弁は小さく、左右が離れ、腹部基部を超えない。
♂背弁は小さく、発音膜が露出する。
前翅根元側半分は琥珀色で、2つの不鮮明な白班がある。
前翅の中央は4つの深黒褐色の筋と、白色または黄色の斑点が3つある。
前翅先端側は1/3ほど黒褐色で、各翅端室・Ulnet cell1-3に白斑がある。
後翅は黒く、翅垂部の根本が白い。
後翅ulner cell5の中央に楕円状の大きな白斑と、翅端室2-6に小さな白斑がある。
♀産卵管は5 mmほど突出する。

分布域

中国[1]、タイ[2]、ベトナム[3]

画像

ベトナム産♂　背面

ベトナム産♂　外部生殖器

ベトナム産♀(上の♂と同じラベル)　側面

前翅の白班がほぼ消失している。
同産地の他の個体(2♂2♀)についても、♀は白斑が減衰する傾向にあった。

ラオス産♀　背面

上記のベトナム産と同様、前翅中央の白色の斑点が消失している。
産地を考えると、おおむね特徴が一致する別種Ambragaeana laosensisの可能性がある[4]。

ただし、laosensisは腹部の色がわずかでも赤銅色を帯びると記述されている。

産地不明♀　背面

産地不明♀　腹面

タイ産♂　腹面

タイ産♂　外部生殖器

 

同定理由

・属までの特徴と一致すること
・後翅、翅垂部根本が白色なこと
・前翅中央に白色の班点が3つあること
・産地が一致すること

同定の確度：★★★★★

備考

iNaturalist
https://www.inaturalist.org/observations/130632211

鳴き声:
鳴き声CD
M. BOULARD, “The Cicadas of Thailand, Volume 2 Taxonomy and Sonic Ethology”, Siri Scientific Press, Audio tracks CD2(2013).

参考文献

[1]CHOU, I. & YAO, W., “The Cicadidae of China (Homoptera: Cicadoidea)”, Tianze Eldoneio, Hong Kong, 380 pp., 16 plts(1997).

[2]M. Boulard, “The Cicadas of Thailand, Volume 2 Taxonomy and Sonic Ethology”, Siri Scientific Press (2013).

[3]A. F. SANBORN & M.H. VILLET, “Catalogue of the Cicadoidea (Hemiptera: Auchenorrhyncha)”, In USA: Elsevier Science Publishing, 1001 pp(2014).

[4]W. L. DISTANT, “XXXIX. — The Honioptera of Indo-China.”, The Annals and magazine of natural history; zoology, botany, and geology, ser. 8, Vol. 20, no.115-120, 324-325(1917).
URL:https://www.biodiversitylibrary.org/item/53302#page/352/mode/1up

[※]Catalogue of Life.
URL:https://www.catalogueoflife.org